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2007.May 特集 vol.2 伝えたい、日本の心の文化 結納は「思いやりと感謝の心」

千年以上もの昔から現在まで引き継がれている日本の美しい心の文化「結納」。しかし、その意味を知らない人が増え、日本人の礼儀作法や思いやりが欠如していく中で、「結納」を誤って捕らえている人も多い。
日本の美しい伝統文化であり、心の贈り物である結納の意味を、長年に渡り多くの人たちに伝承し続ける福原結納店(広島市中区河原町)の福原康方さん・恵美さんご夫妻にお話をお聞きしました。
結納は婚約を公にし、互いの家族への思いやりを表すもの。しかし、残念ながら「支度金の授受」と勘違いする人が多い
結納は、二人の間で交わされた結婚の約束を公にし、互いの両親に感謝し、彼女を幸せにすることを誓うとともに、両家の繁栄を誓い合う日本古来の心のこもった美しい伝統儀式。
かつては、婿方としての気持ちを込め、女性とその家族への誠意を精一杯伝えるための贈り物として、帯・6升のお酒・ハの字に飾った雄雌2匹の鯛などの品々が贈られた。

しかし、戦後あたりから帯を締めなくなり、重い6升の酒や生の鯛などの品々を贈るのが難しくなり、熨斗(のし)・寿栄広(すえひろ)・御帯(おんおび)・松魚(かつお)・家内喜多留(やなぎだる)の五品は今の形になった。
結納飾りの中に、それらの品々の代わりであるお金が入れられるようになったため、「結納は支度金を渡す儀式、結納飾りはそのお金を入れる道具」という誤った情報が一人歩きしている。日本人の思いやりから生まれた伝統や文化が誤った情報に惑わされないためにも、福原ご夫妻は、多くの人に日本の良き心の文化を伝え続けている。

その意味を正しく知ることで日本人の思いやりの文化を見直して欲しい
広島では、結納の基本五品は
 ・熨斗(のし) ・寿栄広(すえひろ)・御帯(おんおび)
・松魚(かつお)・家内喜多留(やなぎだる)

そのほかの品目を増やす場合は、高砂(たかさご)・子生婦(こんぶ)・寿留女(するめ)・八木(はちぼく[米俵])・宝船(たからぶね)・指輪などを増やし、七品目、九品目、十一品目としていく。

結納品のそれぞれの意味についてはこちらでご紹介しています。

「結納品に込められた意味や、昔から日本人が大切にしてきた思いやりの心を理解すれば、二人の人生のスタートにおける結納の大切さがわかるはず。結納の意味を知らないために、必要ないと思ってしまう人たちがいる。知らずに後悔しないためにも、多くの人に伝えていきたい。」と福原さんは言う。

また、結納は、基本の五品が揃ってはじめて意味を成す。どんなに質素でも構わないから、5品目を揃えて贈ることで気持ちを伝えるのだ。最近では「結納を端折る、略式」などと言われることがあるが、結納に決して略式はない。結婚の儀式に略式がないのと同じである。「質素」と「略す」のとは全く意味が異なることを理解してほしい。
日本人の道徳心・心が取り戻されればおのずと結納の大切さは理解される
農耕民族である日本人にとって最も大切な米から造った酒は、昔からお祝いや贈答品としてなくてはならないものであった。その酒をおいしくいただくために添えられた魚や舞、花などが、いわゆる「肴」とされた。その中で、昔から高級品の代表である鮑(あわび)の肉を長く引き伸ばした熨斗鮑(のしあわび)が酒に添えられ、「その人の大切なものを贈る」ことを意味するようになった。熨斗をつけることは大切なものを贈ること。思いやりの心が形となった文化なのだ。 また、御帯(おんおび)の帯には、長いものは魂を結びつけるという意味が込められている。このように、ひとつひとつの結納品の項目には意味があり、贈る相手への思いが込められている。

目の前にある松魚(かつお)が生の魚ではなく、例えば1万円であったとしても、それは贈り物である「魚」なのだ。商品であってもお金であっても、「お品物をいただく」ことに変わりはない。
贈る側にも贈られる側にも、思いやりの心が欠如していれば、このような日本の心の文化は理解できない。

ここ2年くらい前から、結納のご相談や来店客が増えてきていると福原さんは言う。結納の意味や大切さをお話する機会が増えてきているのは、とても喜ばしいことである。心が失われつつあると言われる現代で、日本の文化や伝統が見直され、若い人たちに受け継がれてほしいと思う。


「包む」ことに特別な思いを込める日本の文化 それを伝える職人の技
広島県結納品組合会長でもある福原康方さんは、日本人の思いやりの心や道徳心が薄れ行くとともに、職人の技を理解、評価されなくなってきていると言う。
和紙に墨で書いた書物は何百年でも残るという素晴らしい技術であり、手漉きの和紙は、現代の機械でつくる紙とは全く違った暖かさをもっている。日本の素晴らしい文化や技術があり、その上に「贈答」ということを重んじる精神が発祥しているのだ。
結納飾りやのし袋を西洋のラッピングに置き換えて捉えがちだか、ラッピングとは全く違った日本人独特の心の文化が存在する。西洋のラッピングは感性で美しく飾るものだが、日本では「包む」という行為によって心を通じさせていくもの。筆を包む折り方、香を包む折り方があり、品物を保護し、そして礼法に従って紙を折ることによって思いを込めていくのだ。

このように、一文字ずつ、一折ごとに思い込めて結納品が創り上げられる様子を見れば、いかに、日本人が「大事なものを贈る」ことに心を尽くしていたかが伝わってくる。
折られた和紙と、一対の白扇、水引きの亀を組み合わせて寿栄広(すえひろ)の結納飾りが作られていく。
※亀の寿命は万年といわれ、急がず休まず、幸せを築き続けるようにという願いが込められている。
※喜びが「末広がりになる」おめでたい白扇を、「夫婦ともに末永く幸せに」という願いとを込めて一対で贈られる。

※熨斗は鶴の水引と共に添えられる。鶴は千年という長寿の象徴であり、また、一度夫婦になると、たとえ一羽が死んでも一生他の鶴とは添わないと言われる愛情のシンボル。
堅苦しく考える必要はない 大事なのは「思いやりと感謝の心」であることを理解してほしい

結納は、基本的には生まれ育った自宅で執り行う。そして、その結納品を見ながら両家でお食事を囲むことができれば一番良いのだが、住宅事情のために結納品の飾り場所や祝い膳の準備で悩む人も多い。どんな家やマンションでも、床の間がなければ毛氈(もうせん)を敷くことで、そこを上座と見なすことができる。
自宅でのお食事が難しければ、結納式の後で、ホテルまたは食事処に移動すれば良い。
また、結納は一方通行ではなく、嫁方から婿方へお返し結納(おみやげ結納)を贈ることで、初めて成り立つ。
昔に比べ、周囲に結納について理解している人も少ない今、友人や知人に相談して、あいまいな情報で混乱してしまう人も多いようである。
正式な婚約もしないで、果たして結婚をしても良いのだろうか。結納を難しく考えすぎず、二人の人生の大事なスタートだからこそ、専門店にアドバイスを求め、相談したい。また、定期的に開催されている無料セミナーに参加して、結納を理解してほしい。日本人の心の文化を知り、古き良き儀を知ることで、結納は二人にとって大きな意味を持つ儀式であることが理解できるはずだ。


取材協力 / 株式会社 福原結納店
〒730-0856 住所:広島市中区河原町2-13  電話:082-231-1458